💉彫師タトゥー施術の無罪判決と💄アートメイクの法的位置づけ

日本では、彫師によるタトゥー施術が医師法違反に当たるのかが争われた事件で、2020年9月16日に最高裁で無罪が確定しました。一方で、眉やアイライン等のアートメイクは医行為に該当し得るとする厚生労働省の通知(2023年)もあり、両者は法的に明確に区別されています。本記事では、その違いと現場が守るべきポイントをわかりやすく整理します。

① 何が起きた?—彫師タトゥー事件の経緯

  • 大阪の彫師が2014〜2015年に複数回タトゥー施術を実施し、医師法17条違反で起訴。
  • 一審:有罪・罰金15万円/二審:逆転無罪。
  • 最高裁(令和2年9月16日):検察側上告を棄却し無罪確定

最高裁は、タトゥーは歴史的・社会的に装飾・美術的行為として彫師が担ってきた実情を踏まえ、医療および保健指導に属する行為ではないとして医行為該当性を否定しました。

② 最高裁のポイント—「医行為」かどうかの見方

医師法で禁止される「医業」は、一般に医行為を業として行うことを指します。医行為かの判断は、次の要素を総合評価します。

  1. 目的:医療・保健目的か、装飾・美術目的か
  2. 方法・侵襲性:人体に与える作用や危害のおそれ
  3. 関係・状況:行為者と依頼者の関係、施術環境
  4. 社会通念・実情:歴史的に誰が担ってきた行為か

この枠組みを当てはめ、タトゥー施術=医行為ではないと結論づけられました。

③ アートメイクはどうなる?—厚労省通知の要点

2023年の厚労省通知は、アートメイクの一部(眉・アイライン等)について、医行為に該当しうるとの見解を示しています。特に、医療の一環として医師・看護師等が関与している実態や、侵襲性・リスクがある点を重視。したがって、タトゥーの無罪判例=アートメイク自由ではありません。

④ 歯科領域×リップアートメイクでの実務ポイント

  • 法令理解:医師法17条・最高裁決定・厚労省通知の三点をセットで把握。
  • 体制整備:医療機関連携(医師の関与・指示系統)、同意書、術後指示。
  • 衛生管理:無菌的手技、器具管理、感染対策、緊急時対応。
  • 情報提供:適応外やリスク、必要回数、ダウンタイム等の説明と記録。
  • 広告表現:誇大表示の禁止。効果の断定・過度なビフォーアフターの回避。

⑤ まとめ

最高裁は彫師のタトゥー施術は医行為に当たらないと判断しましたが、アートメイク(特に顔面部位)は医行為に該当し得るという行政見解が示されています。デンタルリップアートの現場では、法令遵守・安全性・説明責任の三本柱を徹底し、医療と美容の境界を丁寧に扱うことが欠かせません。

参考リンク(一次情報・解説)

文責:税所 柚衣(歯科衛生士)
一般社団法人デンタルリップアート協会

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